とある管理栄養士のブログ

平成生まれ/3児の父/管理栄養士/日常のことから専門的なことまで

食品添加物のお話

食品添加物

と聞くと「身体に悪そう」「無添加の方が良いって聞くけど」など

意外と悪いイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。




厚生労働省食品添加物について・・・

食品添加物は、保存料、甘味料、着色料、香料など、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるものです。
厚生労働省は、食品添加物の安全性について食品安全委員会による評価を受け、人の健康を損なうおそれのない場合に限って、成分の規格や、使用の基準を定めたうえで、使用を認めています。
また、使用が認められた食品添加物についても、国民一人当たりの摂取量を調査するなど、安全の確保に努めています。

現在の日本の基準では「安全なもの」に限り使用を認められています。

つまり、食品に使われている食品添加物は国で認められ、安全性についても確認できたもののみ使われているので食べてすぐに身体に異常が起こるなどの心配はありません。

また、中長期的に食べ続けても体に及ぼす影響は極めて低いという評価をしています。




ところで、なぜ急に食品添加物のお話になったかというと

Twitterにてある食品添加物についてツイートしたところ冒頭でも書いた通り

「間違ったイメージ」を持っていた方が多いことがわかりました。







その添加物はシリコーン樹脂」といわれるものです。

シリコーン樹脂」っていわゆる「シリコン」?
シリコンってあの豊胸手術とかに使われるやつ・・・?

と、聞き馴染みのある言葉なのか不安になる方も少なくないようです。



同じ「シリコン」という名前ですが
食品添加物の「シリコーン」は全くの別物なので安心してください。




ではなぜ、「シリコーン樹脂」が食品添加物として使われるか

ということですが、これは主に市販されている「豆腐」に使われます。


豆腐を大豆から作る昔ながらの豆腐屋さんや加工会社に勤めている方以外はピンとこないと思います。


シリコーン樹脂」というのはまたの名を「消泡剤(しょうほうざい)」といいます。

読んで字のごとく「泡を消すもの」です。




豆腐は大豆を絞り、豆乳を作り、そこににがりを入れ加熱することで固まり豆腐となります。(砕いた大豆を加熱する過程)




豆乳を作った後ににがりを入れ攪拌(混ぜる)する作業があります。

この攪拌する際に豆乳はよく泡立ちます。

泡立ったまま豆腐を固めてしまうとスポンジのように中がスカスカになり

舌触りや食感などとても悪くなり、商品としての価値もなくなるでしょう。


そこで活躍するのが「シリコーン樹脂」というわけです。




厚生労働省の基準で食品1kgに対しシリコーン樹脂0.050gの使用が消泡の目的に限り認められています。




「少量といってもたくさん食べたら・・・」

という不安もあるかと思いますが

シリコーン樹脂は加工されていく過程で消滅またはごく微量しか残らないとされており

(加工助剤、キャリーオーバーともいう)過剰に摂取することは殆どの場合考えれられません。

むしろ、このような場合、食品添加物として記載する必要もなくなるほどなので

商品に「消泡剤(シリコーン樹脂)」と記載があった方が安全かもしれません。







それはさておき、

シリコーン樹脂を入れることで大豆から出る大量の泡は消え、

なめらかな食感の豆腐ができるのです。




数年前ですが

とあるブロガーが某大手スーパーの販売する豆腐を名指しで批判する記事が出たため

(現在は消されている)「食品添加物」が「身体に悪い」というイメージを定着させてしまったことは否定できません。




食品添加物」は使う理由があり使用している場合がほとんどです。

様々な食品添加物があり確かに「この食品には必要ないんじゃないか?」

と思う場面もありますが、食品を加工し、販売、利益を得るためには

見た目や香り、食感や味を食品添加物に頼らざるを得ないこともあります。




例えば豆腐もそうですが、口に入れたときにザラザラとしている絹豆腐が売れるのか

赤身肉が茶色に変色していたら美味しく見えるか

かまぼこは赤色のものがないと・・・etc

挙げたらキリがないですが売れるためにはうまく食品添加物を使っていくしかないです。




そのために厚生労働省でしっかりと基準を示し、様々な食品添加物も一つ一つ評価することで安全性を確かなものにしています。

もちろん、健康のために食品添加物を摂取するものではありません。あくまで加工するうえで、商業的に必要になってくるものです。

最近では「無添加」と称し、差別化を図り、健康志向の方をターゲットにした商品も数多くあります。

食品添加物を摂取しない方法も現代では多くあります。

食品添加物が「絶対悪」ではなくうまく取捨選択する必要があると考えます。